富山県の就労継続支援B型事業所の工賃、内職収入

 

目次

平均工賃と目標工賃

 

先日、障害福祉サービスの報酬改定が行われ、就労継続支援B型事業は平均工賃によって、事業所に入ってくるお金が変動することになりました。

シンプルな言い方をすれば、「利用者さんにたくさん工賃を払っている事業所に、たくさんお金をあげるよ」という仕組みです。

 

B型の平均工賃は約15,000円です。中央値は約12,000円ですので、稼いでいるB型は多くの金額を稼いでいることがわかります。

ガチョックも就労継続支援B型事業所として、まずはこの15,000円を目指していくことになります。

 

しかし、現実を考えたときに、来ていただいた利用者さんに月に15,000円を渡して生活が成り立つのかと言えば、不可能であると言えます。

以前参加したセミナーでは、利用者さんに渡す工賃は最低でも3万にしなさい、と言われました。

この根拠に、国が定めている「最低限度の生活」が挙げられました。いわゆる生活保護です。

生活保護を受給した場合、全ての扶助を合わせると大体10,000円になります。この金額を就労継続支援B型事業所でも保障するべきだということです。

 

では何故工賃が30,000円なのか。

 

それは、障害年金という国の制度があるからです。

障害があり、働くことが困難である場合は障害年金を受給することが可能になります。受給できる金額は人によって違うのですが、約67,000円前後が最も多いとのことでした。

この年金の金額に、就労継続支援B型事業所の工賃30,000円を足せば、国が定めている最低限度の生活は可能になる。という理屈で、就労継続支援B型事業所には最低でも30,000円を保障してほしいと。

 

内職ではどれだけの量が必要なのか

 

多くの就労継続支援B型事業所は内職を中心にしています。

この内職で、仮に30,000円を稼ぐにはどれくらいを仕上げなければいけないのかを計算してみます。

 

かつて、多くの就労継続支援B型事業所はとある製品の一部を作っていました。

有名な商品で、ほとんどの方は、これを就労継続支援B型事業所が作っているとは考えもしないものです。

今回は、名前を伏せた形で計算させていただきます。

 

その商品は、

①製造

②検品

③梱包

この3工程で1個0.85円でした。

 

有名な商品ということもあり、完成度が高いものを求められ、半数の利用者さんは作っても製品にならない状態で、職員が修正したり、指導することが必要でした。

そして有名な商品の為、クレームがあれば、その日に出荷したもの全て、または近い日に出荷したものが全て返ってきて、再検品(もちろんお金は発生しません)を求められました。

 

条件だけを考えれば、非常に悪いと感じるかもしれませんが、これは、就労継続支援B型事業所の内職で最も稼げる作業でした。

そう考えると就労継続支援B型事業所は、お金を稼げるようなことをしていないことがわかります。

 

この1個0.85円の製品で30,000円稼ぐ場合は

30000÷0.85=35294.11764705882

約35,294個の商品を1人で生産し、検品し、梱包する必要があります。

 

私は、この製品を15分で80個作ることができました。

まずは、自分自身で計算してみますが、15分で80個ということは60分で320個、つまり1時間で320個の製品を作ることができます。

 

作業所は9:00~16:00の6時間を作業時間にしていますので

1日3時間を製品の製造につかい、残りの3時間を検品と梱包に使ったとします。

 

私が製品を作ることができるのは3時間ですので

320(製品)×3(時間)=960(個)

 

私が1日に作れる製品数は960個になります。

 

これを1ヶ月20日と考え

960(個)×20(日)=19200(個)

 

私が1月に作れる製品は19,200個です。

 

これをお金に換算すると

19200(個)×0.85(円)=16320(円)

 

私が1月に稼げるお金は16,320円になります。

大体、就労継続支援B型事業所の平均工賃とマッチングしていると思います。

 

1日6時間働いて、この金額では、やはり少ないなと感じてしまう方が多いのではないでしょうか。

もし、私が30,000円を稼ぐ場合はこの2倍は働く必要があります。

これでは、内職をして、お金を稼ぐというのは困難であると言えます。

 

 

内職ではない方法が必要

 

就労継続支援B型事業は訓練の側面が強く、もともとはお金を稼ぐよりも居場所としての立ち位置が強かったように思っていますが今回、国が提示した仕組みは「就労継続支援B型事業所であってもお金を稼ぐ努力をしなさい」というものでした。

 

これからは、どうやってお金を稼ぐのかを考えていく必要があります。

まずは、内職も訓練として必要ではありますが、自分たちでお金を生み出す方法をガチョックでは考えていくつもりです。

ただ、福祉職は自分たちでお金を生み出すことをしてこなかったので、こういったことが非常に苦手です。まずは一歩一歩、可能性を探していこうと考えています。